この「コスメアドバイザー」は、現状 Google Assistantのみで提供されているアプリで、マリアナオーシャンのソープ(石鹸)に関するガイドアプリとなっています。
アプリとしてはよく出来ているのですが、音声UIのアプリとしてはいくつか問題点をはらんでおり、その部分について書いてみたいと思います。
コスメアドバイザー 使い方
話し方
これでアプリが立ち上がります。
問題はこの後です・・・
Google Homeに向かって話しかけたと思ってください。
音声UI部分が破綻
「こんにちは、コスメアドバイザーです。30秒で質問を回答して、あなたにぴったりなSoapをご紹介します。まずは性別を教えていただけますか。」
ここまではいいですね。男性か女性を答えましょう。
「どちらの商品をお探しですか?」
どちらの商品・・とは? はて・・なんて答えたらいいのだろう・・・
コスメアドバイザーと言うからにはコスメのアドバイスをしてくれると思ってアプリを起動してるんだけど、性別の後になんて答えたらいいのか分からないんですね。
「どちらの商品をお探しですか?」
いや、だから・・・ここでユーザーは何を答えるのか分からず終了せざるを得ないでしょう。
スマホのGoogle AssistantでタップUIにしてみる
では、スマホの「Google Assistantアプリ」から「コスメアドバイザー」を起動してみましょう。
どちらの?の意味がやっと分かりました。
「自分用」か「ギフト用」かを選べということだったのです。
このように、最初の「どちらの?」の問いの後も、「贈る相手」でどう答えるのか難しい問いが続きます。
家族か恋人か友人か・・と選択肢があればなんてことないんですけどね。
つまり、この「コスメアドバイザー」は「Google Assistantアプリ」を起動して、スマホの画面を見ながら使うというシーンしか想定していないということです。選択肢もしっかりと音声でガイドしてくれれば答えられるので、ここはしっかりと対応して欲しいところです。
その後商品の提案があって、どちらの商品をタップしても外部の自社公式サイトへ遷移します。
Amazon Alexaの場合、スマホアプリに送られるカードでは外部へのリンクは一切できませんし、URLのコピペすらガードされているので外部サイトへの誘導はできません。
それから考えれば、Google Assistantのこの仕様は素晴らしいですよね。まあ、何もガードせずにこの仕様だと、クソアプリやオイタアプリからアフィサイトへのリンクなど好き勝手されそうな心配もあるんですが・・・
スマホで音声で商品検索をして、販売サイトへサクッと誘導してもらえるというのはユーザーにとっては便利なので、ここはいいなと思いました。
アプリ名はこれでいいのか?
さて、問題はもう一つ。
この超シンプルな質問で、自社商品のソープだけを紹介するアプリが「コスメアドバイザー」なのでしょうか・・
つまり、現状の仕様でのアプリ名が「コスメアドバイザー」でいいのかどうか・・ですね。
商品、及びブランドとしては素晴らしいわけで、アプリ名が「マリアナオーシャン」か「Mariana ocean」だったら何も問題なかったと思います。しかし「コスメアドバイザー」という名前からは、多くの人は「コスメ」をアドバイスしてくれるアプリのようにイメージしてしまうわけです。一般的な名称を使ったアプリ名で良かったのか、ユーザーは混乱しないのか・・という判断は、プラットフォーマーがしっかりと精査すべき問題かなと思うのです。
ドメインの早いもの勝ち問題同様、一般名称やビッグワードを取った者勝ちという現状は、今後のことを考えるとよろしくないです。特に音声UIにおけるアプリ・スキル名はそのまま発話になりますからね。
プラットフォーマーとしてガイドラインを整備し、周知が必要でしょう。そして早い段階でリジェクトし、アプリ名を変更してもらうべきじゃないかなあって思うんですよね。
これは、Amazon Alexaでも同様な問題がありまして、「生命保険」「医療保険」「がん保険」といったスキル名をオリックス生命が全部取ってしまっています。「東京海上日動」「三井住友海上」は会社名、ブランド名でのスキル名となっており、「生命保険」=オリックス生命が単なる早いもの勝ちというのはAlexaユーザーの利便性を損なっています。
これもプラットフォーマーとして、全部名前変更させるべきだと思うんですよね。
「オリックス生命のがん保険」というスキル名の方が混乱しないはずです。
まあそれを言い出したら「ほけんの窓口」はどうなの?みたいな話もあったりしますが・・
社名、商標で取得できているものはまあ仕方ないでしょうね。
Googleの方向性が招くカオス
このように、Googleの場合はGoogle Assitantアプリとして、以下のように分かりにくい状況になっています。
・Google HomeとスマホのGoogle Assistantとで同じ挙動をするもの
・Google HomeとスマホのGoogle Assistantとで挙動が異なるもの
・スマホのGoogle Assistantでは動作するけど、Google Homeでは動作しないもの
・スマホのGoogle Assistantでは動作するけど、Google Homeでは存在を認識してくれないもの
もちろん、アプリ開発者がきちんと作っていれば問題はないのですが・・・
GoogleはあくまでGoogle Assistantが中心にあり、スマホだろうがタブレットだろうがスマートスピーカーだろうが、動作するデバイス自体はあまり意識しないという文化になっています。
それ故、コスメアドバイザーのようにGoogle Homeでは全く使えないUIになっているアプリも出てくると思われます。Googleの場合はそれがリリースされてしまうのですが、Amazonだったらおそらくリジェクトされると思います。誰でもすぐに分かるレベルなんで・・・
このように、Google Assistantではまだまだ分かりにくい音声UIアプリやスキルがあるのが現状です。
更にスマートディスプレイが登場し、Pixel3のようにスマホがスマートディスプレイのように使える時代になればディスプレイ対応という選択肢も加わるわけで、ますますカオスになるのでは?と少し心配です。
Googleファミリーで揃えると落とし穴に・・
Google Assistant製品を混在させていると起こる不便も出てきます。
私のように自宅ではAndroidスマホとGoogle Homeを両方使うユーザーは、「コスメアドバイザーに繋いで」って言うと、スマホでなくGoogle Homeが優先デバイスとして処理を受け持ちます。なので、自宅でコスメアドバイザーを使おうとするとGoogle Homeでの音声UIになってしまい、どう使っていいか分からない・・となります。
現状のUIでいくのであれば、Google Homeでは動作しないようにしておくべきですね。
というわけで、割と辛辣に書きましたが、ユーザー体験を重視するのがスマートスピーカーアプリの世界だと思うので、こういった問題はプラットフォーマーがきちんと早急に整理して欲しいところです。
あとがき
まあ、黎明期特有の感じなので時が解決すると思うのですが、それ以上に音声UIの普及のスピードが早いのがスマホ普及期の時代とは違うのかなと。
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